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結果記録 1999年(1)



1999年9月15日
9・15シンポジウム
オウム真理教信者の転入不受理問題をめぐって
『公共の福祉』を考える

主催 人権と報道・連絡会/同栃木グループ

 当日の参加者は50〜80人ほど。大田原市に住むの信者へ罵詈雑言を浴びせる住民の様子を記録したビデオを参加者で見た後、パネルディスカッションが行われた。松本サリン事件被害者の河野義行さんがパネラーとして登場。また、荒木広報副部長も参加、浅野健一教授の指名により会場から荒木広報副部長の発言があった。
 なお、当日の模様は、9月16日に読売新聞、東京新聞、下野新聞(栃木地方紙)それぞれが伝えている。

・浅野健一(同志社大学教授)
 ビデオを見て、吐き気がする。住民がひどすぎる。最近出たニューヨークタイムズのオウム関連での行政の対応を批判する記事はよい。米国と日本の民主主義の差が出ている、というより日本に民主主義はない。大田原オウム信者転入の動きについて、第一報を報じた朝日新聞栃木版をみると、どうみても公安が情報を提供している。

・河野義行(松本サリン事件被害者)
 ビデオを見ていて、悲しくなってきた。罵声を浴びせる住民の姿が、あまりにも醜い。マスコミはああいうのでも「不安におののく住民」と見出しをつけるのだろう。しかし、私から見れば「不安におののくオウム教団員」と見出しをつけるのが妥当だ。オウムの地域トラブルについて、メディアで「これはどう考えたって住民側の人権侵害」というと、住民側から抗議がくる。オウムはおとなしすぎだ。自分たちが何を考えているのか、表にあらわすことが大切。また、おかしいことはおかしいと、法律対処でやらないと駄目だ。オウムが行政訴訟をおこして市が負けたときは、市長に責任をとってもらいたい。今おこなわれている刑事事件が確定したときのために、教団の余剰金を法務省へ供託するなど、考えてほしい。

・山下幸夫(弁護士)
 住民票不受理問題については、平成5年10月25日に、不受理は違法、と判決が出ている。裁判をしたから熊本波の村では状況が変わった。オウムの人たちは、おかしいことを法的にきちっと争っていただきたい。行政訴訟はすぐにできずとも、国賠であれば、すぐに訴えることができる。行政は法律を執行するところ。憲法は、行政が人権を侵害しないためにある。「公共の福祉」を理由に住民票を不受理にするのは、論理が逆になっている。「公共の福祉」を言い過ぎると、基本的人権を否定してしまう。刑事事件については、オウム真理教の団体全員がやったとは、とても言えない。破防法適用は審議されただけ。むしろ、棄却になっていることに注目すべき。オウム特別法について、報道されている内容をみると、暴力団対策法にそっくり。一応、オウムだけを対象としない形態にし、事実上はオウムを狙いとしている。

・地元住民(女性)
 オウムが憎い。しかし、社会情勢も変。市がおかしいっていう人も、たくさんいる。

・栃木県内の職員(男性)
 大田原市につとめる職員から、こう聞いている。オウム信者がきたら、一般職員は対応するな、という箝口令がでている。また、抗議集会にはでろ、といわれている。自治体の職員の中には、住民票不受理に納得していない人もいる。栃木市にも「オウム対策本部」があるが、実態が不明な、あやしい本部。部長がだれとか、詳細が全然不明。自治体上層部で、知らないうちに秘密的に決まってた。

・地元新聞社の記者
 マスコミはへんな意味で硬直化している。現場の記者に悩んでいる人は多い。

・荒木浩(オウム真理教団広報副部長)
 住民票がないので、健康保険もどうなるかわからないから、歯医者に早く通っておくなど、心配事が多い。今、非常にきわどい状態で、バッシングがどんどんエスカレートしている。教団上層部も真剣に考えている。教団のあり方を見直している。




1999年9月14日
9・14シンポジウム オウム問題と破防法改悪問題を考える
オウム真理教の信者に人権はないのか、居住権はないのか!
主催    破防法の廃止を求める連絡会・東京
協賛    人権と報道・連絡会

 当日の参加者は百数十人ほどで、会場は満員。パネラーの迫力あるトークに、会場全体が真剣が雰囲気につつまれた。

・浅野健一(同志社大学教授)
 ビラで逮捕された話があるが、あのビラは京都の私の住まいにも二度ほど入っていた。内容をみると、単にマスコミ報道の嘘を指摘した当たり前な内容で、何ら問題はない。むしろマスメディア研究の学生に役立つようなないようだ。あれをオウムが配ってなにがまずいのか。

・宮崎学(作家)
今回の法案で痛いところは、オウムが絡んでいること。オウムにはどうもシンパシーを感じることができないので、動きづらい。
特別立法は暴力団対策法ににている。暴力団対策法の時も成立をきっかけに警察の腐敗が進んだ。組織犯罪対策法のときは、法務大臣より与謝野通産大臣のほうがやたらがんばった。なぜかといえば盗聴機器開発に携わるであろうNEC等との癒着により、利権があった。どこが一番得するかを見れば、どこが仕掛けたかわかる。

・山際永三(人権と報道・連絡会)
オウムに対して早急に謝罪を迫るなんて、全然、社会情勢がわかっていない。オウムが無理にそんなことをしても、根本的には何の解決にもならない。社会全体がどんどん管理社会になっていることを考えるべきだ。




1999年5月22日
組対法三法を廃案に 5.22全国集会
 全国から12団体が参加して、組織犯罪対策法を反対する声をあげた。集会では、今までの法律には類をみない組織犯罪対策法の危険性が各団体から強く訴えられた。 

・福島瑞穂参議院議員
 組織犯罪対策法は「『将来のおそれ』を取り締まる目的なので、今までの犯罪概念を180度かえてしまう。弁護士でもいいがかりをつけて簡単に逮捕されかねない。 組織犯罪対策法がとおると、日本全体が戦争に協力させられる。本当に息苦しい社会になる。
 三法案は犯罪の概念を変えてしまう。全国民を犯罪予備軍としてあつかう。公明党の修正案は何の意味もない。盗聴法に関しては、NTTの職員から不安だ、という声をきく。
 今は、オウム真理教対策といえばみんながだまってしまうが、警察の横暴のほうが怖い。




1999年5月22日
プライバシーを踏みつけるな!

渋谷ON AIR EAST
呼びかけ人、佐高信、宮崎学、辛淑玉、大谷昭宏、テリー伊藤

 呼びかけ人からは、組織犯罪対策法の危険性がユーモアを交えながら、かつ厳しく指摘された。また、FLASH1999年5月25日号で全国の警察に盗聴器を納入した技術者としてとりあげられた丸竹洋三氏も参加。警察はすでに40年前に丸竹氏つとめる会社へ盗聴器の作成を依頼してきており、実際に100個ほど作成したうえ警察へ納入したことを証言した。

・中村敦夫参議院議員
 組織犯罪対策法は超弩級の法律だ。組織犯罪対策法について小沢一郎は、「自民党は(組織犯罪対策法の建前について)うそをついている。(組織犯罪対策法を含む三法案【入管、組対、ガイドライン】によって)戦争をできるようにする」と本音をいっている。戦争のため、非常時に国家権力に逆らえないようにするための法律だ。公明党の手のひらをかえすような動きといい、非常に危険な状態になっている。

・枝野幸男衆議院議員
 盗聴法などとんでもない。警察はでっちあげ逮捕などの実績を持っている。典型例がオウム事件だ。オウム信者の中にはホテルに偽名で泊まって逮捕された者がいるが、その理屈でいけば国会議員のなかにも逮捕される者はたくさんいる。電話で冗談めいて「まったくあいつには毒を盛って殺してやりたい」などということは自分自身いくらでもあるし、誰にでもあるだろうが、警察ににらまれればそういう電話の会話が盗聴され、証拠となって逮捕されるということも充分あり得る。




1999年2月20日
国賠ネットワーク集会

当日は国家賠償請求に関する市民集会だが、司法の傾向として麻原裁判や主任弁護士逮捕に関する話題も飛び出た。当日の講師である後藤昌次郎弁護士は会場からの質問に答え、その点についても言及した。

 新聞はよく「麻原弁護団が裁判を遅らせている」と非難しているが、私には全く理解できない。

 麻原弁護団のやっていることは、証拠裁判主義(*1)から言えば当たり前のことだ。裁判官は証拠を見てから判断を進めて行くはずなのに、証拠を見る前から早くやれ、なんてまったくおかしい。今まで弁護人ぬきで近代に裁判をやったのはスターリンだけ。なぜマスコミはそのことに気付かず、弁護団叩きをやるのか、全く理解できない。弁護士としては麻原弁護団に加わっても個人的には何の得もない。弁護団は正義のためにやっている。私だったら弁護団にされたら、スタコラサッサと逃げてしまう。

 安田さん逮捕については事件の詳しい内容を知らないので、詳しくは言及できない。ただ、安田さんがやっていることはかなりの弁護士がやってるんじゃないかな。オウム裁判が転機に差し掛かっていた時に逮捕された。かなり政治的な意味があると思う。

(*1)証拠裁判主義→刑訴法三一七条は、「事実の認定は、証拠による」と規定する。この近代法の大原則を証拠裁判主義という。かつては神判、決闘など証拠によらない裁判が行われたし、また、自白がない限り有罪とされないという時代もあった(これは、結果において自白獲得のための拷問を許すことにつながる)。しかし近代の刑訴法は、糾問的な自白尊重主義を脱却して、必ずしも自白の有無にこだわらず、証拠による合理的な事実の認定を目指すようになった。  通説はこの三一七条の規定に、さらに重要な意義を与えている。すなわち、それは単に証拠裁判主義という一般原則を意味するにとどまらず、公訴犯罪事実を認定するには、厳格な証明が必要であることを明らかにしたものと解するのである。 【法律用語辞典・自由国民社より】




1999年1月11日
安田弁護士逮捕についての報告(人権と報道連絡会定例会1月11日)

・渡辺弁護士の報告
 賃料の譲渡は真実の譲渡であって仮装の譲渡ではない。真実であれば無罪。安田弁護士の指導はふつうの経営再建のための指導。いかなる意味でも犯罪行為にならない。そもそも安田弁護士は違法行為を指導するような人ではない。

・麻原弁護団のうちの一人(渡辺弁護士以外の弁護士)の報告
 安田弁護士に疑いがかけられている「強制執行妨害」は最高でも懲役2年。飲酒運転や窃盗よりも軽い。そもそもが個人の債権を保護する目的のもの。民事で処理するのが普通だし、その方が債権回収の本来の目的に合致するのに、住専管理機構は一方的に無理に刑事事件にした。
 地下鉄サリン事件については井上証言を軸にした立証を検察は考えていたようだ。しかしすでに井上証言は崩れてきている。リムジン車の謀議も崩れてくる。となると検察立証の根幹から揺らいでくることになる。





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