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結果記録 1999年(2)



1999年12月27日
守ろう!言論・思想・結社の自由
改めて団体規制法(第2破防法)に反対する市民の集い

◆とき   12月27日(月)午後6時30分〜
◆ところ  シニアワーク東京講堂
(JR中央線飯田橋駅徒歩7分、ホテルエドモンド隣)

◆発言

・内藤弁護士(元破防法弁護団)
 新しい団体規制法は、破防法と比べて極めて厳しい闘いになる。将来の危険性の要件をはずしてしまったので、要件が簡単。公安調査庁段階での弁明手続がない。公安審査委員会も、公安調査庁提出の証拠を開示しない方針。このような手続は裁判ではありえない。刑事事件において、起訴状以外は開示せず、「反論してごらんなさい」と言っているのと同じで、反論不可能。団体規制法より破防法の方が民主的。

・福島瑞穂(参議院議員【社民党】/弁護士)
 団体規制法、被害者救済法、二つの法律はつながっている。くっついている。実はひとつのもの。「オウム特別立法」と呼ばれていたが、名前がおかしい。オウムのみと思い込まされている。国民の漠然とした不安だけで適用できる。破防法と比べて手続も簡略化されている。
 参議院では、浅野健一さんがわかりやすくいい意見を言った。
 二法は欠陥だらけの法律。法律論でいえば、「違憲」であることは明らかだろう。私たちの間でも問題にしたい。二法は、いずれ国連において、人権B規約に違反すると、絶対に断ぜられると思う。

・山際永三(人権と報道・連絡会)
 犯罪報道が冤罪をつくっている。和歌山カレー事件でも、「悪い奴を弁護する弁護士は、悪い弁護士」という論調で新聞も書く。裁判そのものを形骸化している。サリン事件の裁判では、自白ばかり、言葉、言葉の連続で、物証がでてこない。裏に何かある。真相を明らかにしようとした安田弁護士は逮捕された。異常。
 オウム排斥運動について、現地調査をいくつかした。そこでわかったことは、テレビで喧伝されていることが、住民の口からそのまま出てくる。テレビにマインドコントロールされている。不安と言っても本当に不安なのか、むしろ逆のイジメ現象になっているのではないか、という印象を受けた。ロス疑惑事件の三浦和義さんの裁判では、
「憶測と確実な証拠を分けながら審理をすすめた」
と判決に書かれている。それほど、報道の影響は大きい。
 参議院において、中村敦夫議員が
「オウムの人たちはマインドコントロールされているから、群れさせちゃいけない」
といった。ここに、非常に問題が集約されている。
 米国では、70〜80年代にカルトから暴力的に脱会させる仕事をする人がおり、暴力的に信仰を捨てさせた。90年代に入って、そのような暴力的な脱会させるやり方は違法と判決が出ており、米国の心理学では「マインドコントロール」という言葉を使うのをやめようとも言われている。日本でもテレビでCMでくいものの宣伝などをやる。新しい商品を宣伝し、家庭の幸せを喧伝する。あれは完全にマインドコントロールではないか。

◆野田敬生(元公調キャリア)/質問に対する答え

Q:公調に入ったきっかけは?
A:スパイ機関みたいで、入ってみようかと。

Q:入って落胆されたみたいですが、どの辺に?
A:入った頃、リストラ論が高まっていた。組織の志気が低かったので、びっくりした。

Q:志気が低い、というのは、仕事をしてないとか?
A:簡単にいうと、いつ潰れるかわからない。

Q:破防法の改正について
A:破防法は不完全であると、当初から公安調査庁では考えていた。だから何度も改正の機会をうかがっていた。破防法が棄却になって、長官交えて改正について検討がはじまった。なお、破防法改正案においても、立ち入り検査は目玉だった。また、改正の根拠は必ずしもオウムではなかった。しかし、オウムを名目として、オウムの危険性を煽ることで、どさくさに紛れて改正をやってしまおうとした。しかし、煽りすぎて騒ぎになりすぎたために誤算がでた。ひとつが、官邸が「破防法改正」より「オウム対策」そのものを優先させようとした。ふたつ目が、警察庁の、新法への介入。

Q:公調は、ほんとうのところはオウム問題についてどう考えているのか?
A:おそらく、ほんとうのところは問題意識はない。あるのは、組織存続。破防法棄却のときよりオウムの危険性は減っている。オウムの危険性をいっている人は、確信的な根拠はない。単に気色悪いとか、生理的な嫌悪だと思う。




1999年12月5日
新破防法=オウム規制二法案反対!講演集会
◆日時 12月5日午後1時半〜
◆場所 ドーンセンター(大阪)
当日の参加者は60人ほど。

・福田雅章(一橋大学法学部教授)
 法案は、オウム以外にも適用可能。団体規制法は、団体の活動そのものの報告義務が生じる。
 再発防止処分は、観察処分とは独立した処分だ。聴聞権は、おかざりで、30日以内に公安審査委員会が決定をくださねばならない。なんにもできない。準備もできない。




1999年12月3日
つぶせ!第2破防法12・3集会
◆日時 12月3日午後6時〜
◆場所 星陵会館(国会議事堂裏)
◆主催 破防法・組対法に反対する共同行動

当日の参加者は260人ほど。

・海渡雄一(弁護士)
3日の本会議での投票結果は以下の通り。
団体規制法
賛成 197
反対 33
総数 230

 公安審査委員会の「審議」は一回切りでもいい。公庁の疎明資料は、閲覧、謄写(コピー)はできない。したがって、疎明資料に反論できない。
参議院の参考人では、浅野健一さんが説得力のある意見をいった。違憲性を指摘するときの根拠を残してくれた。立法について、河野さんもコメントを出しているけども、非常に冷静。
 今日参加の人も、オウム信者の為にやる気の人は少ないと思う。しかし、信者の人権が侵害されようとしているのは間違いない。

・内藤隆(弁護士/元破防法弁護団)
 最も言いたいことは二点。
1、立法事実(教団の危険性等)がない。
2、手続に問題がある。
 破防法のときに棄却された最大の理由は、公安調査庁段階で弁明があり、公庁側の証拠が開示された。捏造されたものも指摘できた。今回はそれができない。
 30日以内に公安審査委員会は結論を表明せねばならない。しかし、結論を示す文書を書く時間も必要だし、当該団体から意見を聞くまでの時間でも7日はつぶれる。検討に使える時間は実質10日ほど。
 団体規制法は、事実上、破防法の一部改正であることは間違いない。




1999年12月1日
こんなものいらない
「オウム法案」=あぶないカモ法案
緊・急・集・会

◆ひにち 12月1日午後7時〜
◆ばしょ 宇都宮市文化会館研修室
◆こうえん 内藤隆(元オウム破防法弁護団)
◆といあわせ 人権と報道・連絡会栃木グループ tel028-652-1404

当日の参加者は50人ほど。新法の対象団体といわれている教団の代表代行・村岡達子さんも個人の立場から参加した。司会の指名により、当日教団が発表した正式見解について、一般参加席から簡単に話すシーンもあった。

・内藤隆(弁護士/元破防法弁護団)
 団体規制法は、破防法を改悪した法律。嫌な動きだなと、切実に感じだしたのは、女子大生拉致、木曽福島監禁を見てから。公庁はそこまでやるのか、と思った。
 破防法の方がまだ民主的。手続の問題でいえば、破防法は公庁による一部公開の弁明があった。あれがよかった。しかし、新法ではそれがない。曖昧な要件がこの法律の特徴。
 被害者救済法案は、破産の特別法と言われているが、わたしはまったくそうは考えない。
 破産の考えは、破産宣告時の財産のみ精算し、あとは負債を帳消しにすることができる。しかし、今度のは、どこまでも追いかけていく。したがって、破産法とは発想が180度違う。




1999年11月17日
―思想・言論・結社の自由の侵害に反対する―
つぶせ!第二破防法
11・17集会

◆日時 11月17日(水) 開会 午後6時30分
◆場所 弁護士会館2F講堂「クレオ」

・海渡雄一(弁護士)
 法案は悪法中の悪法。破防法以上。人々が漠然と感じる不安は、本来、正当な規制根拠にならない。「理性の声」が「オウム憎し」の声の中でかき消されようとしている。
 法案により信仰活動含めすべて禁止される。信者が次々に逮捕されることが予想される。これでは信者は殉教意識しか生じない。事件の反省などあり得なくなってしまう。

・佐高信(評論家/破防法弁明立会人)
 法案は、オウムに限定していない。「変装」破防法というべき。不祥事続きの神奈川県警に適用するなら賛成しないでもない。この法案は市民側に向けられている。言いたいことを言わせないようにする。

・宮崎学(作家)
 衆議院法務委員会を、怒りをもって糾弾したい。オウム事件は原因があったから結果があった。事件は社会が生み出したものではないのか。
 神奈川県警の例にあるとおり、警察は腐敗している。その警察に新たな武器を与えてどうするのか。神奈川県警の例では、捜査上で女性のプライバシー情報を得て、プライバシー情報を使って警官が女性を脅し交際をせまる事件があった。今回の団体規制法、あるいは来年施行される盗聴法で同様のことがあるだろう。わたしのような意見は少数派だが、少数派の意見を力づくで潰すような社会は、待っているのは破滅だろう。

・辛淑玉(人材育成コンサルタント)
 反対の理由は一点のみ。警察に武器を持たせることになる。神奈川県警の例を見ても、覚醒剤、強姦、証拠隠滅、なんでもやる。

・内藤隆(弁護士/破防法弁護団)
 破防法棄却からわずか3年もたたないうちに、同様の悪法が出てきた。くやしい。憲法適合のチェックが、国会において喪失しつつある。立法府が腐敗している。立法にあたっては、少なくとも立法事実が存在しなければならない。しかし、立法事実(オウムの危険性等)はすべて虚構。今回の立法は、デマゴギーと情報操作によってつくられている。立法事実の厳密な検証をする必要がある。
 今回の法案にくらべれば、破防法の方がまだ民主的で人権に配慮している。今回の法案では、「将来の危険性」がなくてもいい。手続的にみても、公安調査庁による弁明がない。すべて密室で行われる。手続は憲法違反。破防法が成立した1950年頃であれば、今回のような法案は(あまりにもひどい内容であるが故に)決して成立しえなかった。1999年になり、通ることを残念に思う。
 被害者救済法案は、破産法と整合性がない。また、この法案のせいで、団体規制法案に反対する声が大きく圧殺される。

・山口広(弁護士)
 消費者問題、カルト問題を担当してきた。カルトには何らかの対策が必要。無差別大量殺人を起こしておきながら、知らないではすまないだろう。しかしながら、立法の過程はひどすぎる。ヨーロッパでは、政府がカルトの詳しいレポートをつくる。もっと研究をする。日本ではヨーロッパでできることができない。
 今回の立法は外科的な、権力的な対応であり、信者は地下に潜るだけ。このような対応は大間違いで問題が複雑になるだけ。

・保坂展人(国会議員【社民党】)
 今回の法案は、第二破防法と呼ばざるをえない。「不特定かつ多数」に問題があって、いかようにも解釈できる。オウム以外にも適用できる。被害者救済法と団体規制法がセットなことにも反対。

・足立昌勝(関東学院大学法学部教授【刑法】)
 オウムが本当に危険か、疑問がある。
 過去の歴史をみると、50年間、警察はことあるごとに権限を広げてきた。今回の法案でも非常に権限を強めることになる。
 規制措置の観察処分は、観察処分といっても団体規制そのもの。構成員氏名の提出を求めているが、これは団体の命。警察が捜査をするときに一番にほしがるもの。立入権は、拒否すると罰則があるので実質的に強制権がでてくる。
「サリンを使用するなどして」という文言をあらたに加えたが、「など」だから何の意味もない。
 1、破防法体系の補完
 2、警察権限の非常なる拡大。
 この二点からの批判がない。多くの方にこの観点から批判していただきたい。

・小田原紀雄(日本基督教団社会委員会)
 異端な者を排除する社会は生きづらい。先月末に関西で法案に反対する会があり、弁護士と問題点を話し合った。そこででた話としては、あまりにもひどい内容なので「本気なのか?」ということと、立法事実がないということ。また法案の特徴としては、「○○かもしれない」という、「可能性」だけで一網打尽。法案は、法律とはとても言えない。憲法とはまるで無縁。

・木邨健三(日本カトリック正義と平和協議会)
 戦前のことをまざまざと思い浮かべざるを得ない。国家主義が目の前まできている。

・葉山岳夫(弁護士/破防法・有事立法に反対する弁護士の会代表)
 法案は憲法違反の固まり。この法案は、オウム対策といっているのは口実。
 そもそも立法事実がない。教団については、破防法は「将来の危険性がない」と棄却され、女子大生拉致、木曽福島の監禁、いずれも立件できず。
 「無差別大量殺人」という言葉はペテン。実際には「『不特定かつ多数』の政治目的殺人(および未遂)」。「不特定かつ多数」とは、判例によれば、親族などの限定された集団以外の集団を含む2人以上のもの。つまり、法案によれば、政治目的をもった2名以上の殺人または未遂があれば該当する。対象は一挙に拡大している。
 現在、弁護士間で法案に反対する署名を集めている。22日に参議院議長に署名提出予定。




1999年11月8日
許すな!団体規制法
守ろう!言論・思想・結社の自由
緊急集会

◆とき 11月8日(月)午後6時30分〜
◆ところ シニアワーク東京講堂(JR中央線飯田橋駅徒歩7分、ホテルエドモンド隣)
TEL 03-5211-2310

 参加者は100人ほど。オウム対策と呼ばれる法案の問題点が、弁護士や法学者により、数多く指摘された。また人権と報道連絡会からは、栃木・埼玉・群馬における「オウム排斥運動」視察の報告がなされた。

海渡雄一(弁護士)【法案の問題点】
 法案の中身は、簡単にいって、憲法違反、国際人権規約違反。将来の危険性は問題とはならず、過去に「不特定かつ多数の殺人」をやっていれば、とにかく適用できる。オウムだけではなく、非常に広範囲に適用できる。共産党、極左など適用できる。オウムへの不安を根拠に法案がでてきているが、「不安」と「現実的な危険」はイコールではない。この法律で叩いたら、叩かれる側に悪いことをした実感がない。彼ら(オウム)は永遠に反省の機会を失う。下手をすると、国家をうらむだけ。こういう(オウム)対策は本当に愚か。刑罰で人の心を変えようというのは本当に愚か。今のペースでいくと、17日ぐらいに衆議院で可決、参議院へ。国会の力学からいえば、成立はどうしようもない。

・山際永三(人権団体事務局長)【栃木・埼玉・群馬現地報告】
◆栃木大田原
 地元新聞紙の下野新聞が、朝日や読売より、一日早く報じている。市役所の誰かが公務員の守秘義務違反している。下野新聞見出しの中に、「とにかくでていけ」などとあり、論理がない。
◆埼玉吹上
 ユンボ・消防車で道路封鎖までされたことがある。消防団が杭を打って、鉄条網をはった。運搬する食料も中身をチェック。どういう不安がありますか、と聞くと、「いや、とにかくオウムは不安」という。(オウム)監視マニュアルをみると、連絡先が役場になっていた。いくらなんでもこれはひどいだろう、と役場で申し入れると、これは消されることになった。
◆群馬藤岡
 ここは徹底している。住民は、マスコミのマインドコントロールにかかっている。これも、一種の報道被害。ローテーションで監視活動を割り当てられる住民の他に、自主的に時間をつくって監視活動をする住民がいる。ボランティアと呼ばれている。ボランティアは凄まじく強硬。一種のヒステリー現象。社長宅を視察し、出ようとした後、ボランティアの住民が点呼をすると言い出したので、こちらも怒って断った。車を出すときにも道をふさがれた。市役所の総務部長も、「ボランティアには困っている」といっていた。強硬な住民の信念の裏には、戦前からひきつぐ日本人の体質を感じる。藤岡では、くしくも十数人の在日朝鮮人が関東大震災のパニック時に虐殺されている。

・宮崎学(作家)【法案の問題点】
 特別立法案と、暴力団対策法は似ている。94年、暴力団対策法の聴聞会に出たことがあるが、聴聞会は形だけ。特別立法案も同様な手続が予想される。
 この特別立法案には、たとえ「オウムだけ」と限定されても反対。それは、そのような法律が存在することそのものがおかしいから。「法の下の平等」は、極めて普遍的な原則だから。団体法を運用する、警視庁、公安庁の透明度は保たれているのか?警察の不祥事事件は非常に多く、とても信用できたものではない。
 今回の法案は第2破防法というべきものであり、つぶしていきたい。

・足立昌勝(関東学院大学法学部(刑法)教授)【法案の問題点】
 オウムの危険性は意図的につくられている。まさに、マスコミによるマインドコントロールがおこなわれている。もう、見るのも嫌、というぐらいにまで操作している。住民のオウム・バッシングは現代的「村八分」。
 オウム側が住民票の問題で日弁連に人権救済申し立てをしている。日弁連は、法と住民感情の狭間で困っている。しかし、法律家であるなら、法にのっとりはっきりと人権侵害だと認めるべきではないか、というのがわたしの主張で、日弁連の委員会でもそのことを伝えた。

 立ち入り調査は、非常に問題がある。憲法の令状主義を無視している。裁判所の令状なしに立ち入りができるようにしている。
 観察処分にする場合の要件をみると、これがなぜ「無差別大量殺人」と関係あるのか、まったく理解できない。オウムがやろう(やった)としていることを列挙しているだけ。
 再発防止処分をみると、居住権、生存権そのものを否定している。無差別大量殺人の再発防止と関係がありますか? 一度決められた法律は一人歩きを始める。権力は、一度手にした権限は、二度と手放すことはない。







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