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結果記録 2000年(2)



2000年12月2日
ヒューマンネットワーク千葉 公開学習会
テーマ「オウム問題」から見えてくる差別と人権


◆日時 12月2日午後1時から
◆場所 ミレニアムセンター佐倉 第3会議室(京成佐倉駅北口徒歩1分)
◆主催 「人権教育のための国連100年」を推進する千葉県連絡会
◆講師 古本晴英弁護士(五月共同法律事務所)

当日の参加者は、35人ほど。佐倉市の中学生議会に参加したという中学生の 参加も見られた。

◆発言

・手塚愛一郎(転入届不受理裁判支援連絡会事務局長)
 昨年以来、オウム問題に関わるようになった経緯から発言した。大田原で の住民運動の様子から退去まで。その後龍ヶ崎に移ってからの一連の経緯に ついて発言。
主に麻原氏の子供の就学問題を中心に発言。

龍ヶ崎の住居では、住居から学校まで「出て行け」のステッカーが貼られて おり、毎日学童たちはそれを見ながら登校している。教育上どうなのか? また、ステッカーを貼ってないとオウム信者と言われる現状があり、ほぼ強 制的にステッカーを貼らざるを得ない状況となっている。
8月27日に1400人規模のデモが行われた。それには子供たちまで駆り 出され、声を張り上げていた。学校ではいじめをなくそうとか言っておきな がら、この現状はどうなのか?

・古本晴英弁護士(五月共同法律事務所)
 団体規制法・住民票不受理・就学問題に関しての学習会だが、主に携わっ ている団体規制法を中心に発言。

昨年の木曽福島の事件以降、教団と関わるようになった。その後、年末にか けて団体規制法の成立があり、団体規制法に主に関わるようになる。
団体規制法の概要から話し、憲法上、重大な問題があることを指摘。当初は 住民の不安解消が目的だったが、むしろ不安を煽っている側面があり、立法 事実が存在しない。
特定の団体を狙い撃ちした法律はそもそも憲法の平等原則違反にあたる。
報告書の提出、立入検査など信教の自由、プライバシーの侵害にあたる。
そもそも団体規制法は99年の一連の住民運動の高まりを契機に制定気運が 高まる。だが、その住民運動も各施設の居住開始時期と排斥運動が起きた時 期が一致しておらず(激化したのは99年4月から)、公安・マスコミに煽 られた結果のものである。
その後、拙速な立法手続きのもと、すんなりと法案が通ってしまった。
充分な審議がなされていない。
また、昨年の12月27日に施行されたが、即日公安庁から観察処分が請求 されており、公安庁は前から準備していた。しかし、適用される側は、法律 の具体的内容すら新聞報道から知るほどで、全く準備不足の状態から始まっ ている。
意見聴取手続きに関しても公安調査庁側から提出された証拠を渡されたのが、 意見聴取日の一週間前で、全く準備ができていなかった。また、意見聴取日 に公安庁側に立入を受ける側の切実な問題に関して質問をしたが、全く回答 は得られなかった。
2月4日の越谷をはじめとする立入検査の開始後、今までに40数箇所に立 入が行われている。
観察処分がかかれば、当初は住民の不安が解消され、住民票不受理などはな くなるとのことだったが、寧ろ、観察処分適用中であるという理由から不安 を煽っており、流山市議会決議に見られるように、退去要請のための理由と されてしまっている。
住民票不受理に関しては現在のところ、教団内には90数人の不受理者がい る。一向に解消される気配はない。
最後に、こういう場で状況をしってもらうことにより今後の市民団体の活動 に期待している。

・その後質疑応答

・佐倉市での中学生議会に参加した中学生から発言があった。

オウム住民票の不受理に疑問を感じ、その点を質問した。助役からは「国か ら危険な団体として監視されているから、市役所でも協議した結果、不受理 にした」と説明があった。市長からは「オウムの人たちは過去に基本的人権 を踏みにじり、サリン事件等で人権を踏みにじっており、不受理にしている 」との説明があったと発言。

・松戸市からの参加者の質問
自治省は住民票不受理に関して何かしているのか?
→手塚氏回答
自治省は何もしていない。

・運営委員会の人からの発言
オウムの信仰がどうこうというよりも、社会が冷静さを失っているのが現状 である。日本は明治維新時の被差別部落弾圧、関東大震災の朝鮮人弾圧、太 平洋戦争下の非国民呼ばわり、をしてきた。現代ではそれがオウムであり、 その結果は必ず戦争に近づくということだ。危惧を感じている。

記事提供/試練




2000年8月26日
『オウム報道』を検証する


◆日時 8月26日(土)午後1時半から
◆場所 亀城プラザ(土浦駅西口からバス「亀城公園」下車)
◆主催 人権と報道・連絡会
      同 茨城グループ

当日の参加者は、40人ほど。会場では議論が白熱した。

◆発言

・山際永三(人権と報道・連絡会事務局長)
現代は、20〜30年前と状況が違う。テレビ、新聞が力を持ってきた。昔は裁判や行政の動きを報道機関が報道した。今は逆に新聞、テレビが裁判や行政に影響を与える。または相互に影響を与えている。 オウムバッシングは1999年から再燃した。一言でいって「オウム排斥」。排斥する側は、堂々めぐりの論理を繰り返す。実体を見ようとしない。報道の影響がある。 また、テレビはニュース報道というより娯楽化している。

・浅野健一(同志社大学教授)
オウムの犯罪は未解明な点が多い。にもかかわらず「オウムがすべて悪かった」の一点でバッシングが繰り返されている。日本では宗教そのものに違和感がある。信教の自由の重要さが理解されていない。オウムさえいなければ本当に安全で幸せなのか。国家の犯罪に甘い日本人。侵略戦争については、証拠を見せろとか、見たのかとせまるくせに、オウムは犯罪に関与していない信者にまで連座制を適用しようとする。

・会場からの声
自分は信者ではないが、オウムバッシングは聞くだけでもううんざりするし、やりすぎ。もういいじゃないか、と言いたい。

・会場からの声2
排斥されている麻原さんの子どもは、ごく普通のかわいらしい子どもじゃないですか。犯罪とは何の関係もない。大人が勝手にあれこれ言って排斥する前に、子どものことを考えるべきだ。

・会場からの声3(地元の市議会議員)
不受理は簡単に決めたのではなく、悩みに悩んだ末の選択で、安易に不受理にしたわけではない。




2000年7月30日
アレフ信者に対する住民票不受理と就学拒否を考える学習会


◆日時 7月30日(日)午後6時〜9時
◆場所 吹田メイシアター・第1会議室
◆主催 オウム真理教に対する強制捜査を考える市民の会 子どもたちの未来を考える会

当日の参加者は、30人ほど。

◆発言

・手塚愛一郎(転入届不受理裁判支援連絡会事務局長)
6月の下旬、麻原彰晃被告人の子どもたちの引っ越しを手伝った。大田原市から竜ヶ崎への引っ越し。 竜ヶ崎では
「オウムがきてこわくて夜も眠れない」
という人がいる。口では不安だというが、おばちゃんが見物にきたり、近所の子どもがスケートボードで近くで遊んでいたりする。実際は怖がってはいない。
行政の転入届不受理は、オウム信者に対する悪質な嫌がらせ。ありとあらゆる嫌がらせをやっている。
ある自治体の幹部は、
「日本のどこにいても(オウム信者が追い出し運動をされることは)同じだ」
「でも出ていってくれ」
という。
「死ね」といっているのと同じだ。追い出し運動は「オウムだから」というのが全ての説明。

・大本達也(子どもたちの未来を考える会代表)
手塚さんの話は、90年初頭の波の村でのオウム排斥運動とまるっきり同じで、デジャブーを感じた。

・大阪府吹田市で住民票不受理になった信者
行政は「公共の福祉」の一点張りで受け付けてくれなかった。




2000年6月10日
どこかおかしい転入拒否・団体規制法
『公共の福祉』を考える
PartV


◆日時 6月10日(土)午後1時30分〜
◆会場 栃木県総合文化センター第4会議室(県庁前)
◆主催 人権と報道・連絡会/同栃木グループ

当日の参加者は、50〜60人ほど。

◆発言

・浅野健一(同志社大学教授)
柏では、わたしがいるからオウムがきたという噂がある。大学の生徒からも「先生が呼んだんですか?」ときかれたりした。
市役所では、みんながいうのが
「オウムの人に会ったことがない」
会った方がいい、というと
「あえるんですか?」
と聞かれる。
柏では話合いを住民がみんなでつぶしてしまった。そこが残念。団体規制法は、地域における共生を生んだのではなく、妨害をしている。

・山際永三(人権と報道・連絡会事務局長)
現地調査ではなしを聞きにいった柏市役所では、役人が「いっていないことまでマスコミが書くから困る」といっていた。しかし、そういいつつマスコミには抗議しない。行政の排斥は、どこまでやるのか、なんのためにやるのか、すべてがはっきりしない。

・野田敬生(元公安調査庁職員)
公安調査庁は、もともと「公調(コウチョー)」が正式な略称だった。蔑称のひびきもある。最近、「公庁」や「公安庁」などの略称も出、むかしのリストラ寸前のイメージが消えつつある。公調の情報提供先は最高裁事務局も入っている。今日も外へ公調がきている。今日はワイヤレスマイクを使ってしゃべっているので、外でシメシメと傍受しているだろう。立入検査のビデオをみて思ったことは、ビデオ・本のチェック、それぐらいしかやることがない。公調の方も、なんでこんなことをやっているのかと渋々やっているのが真相ではないか。ビデオでの顔ぶれをみると、本庁の人間をだしている。総務部などの実際の調査にたずさわっていない人がやっている。顔がわれることを避けるためだろう。公調はオウム問題残務機関のような位置づけになっているので、これが片づいてしまうとあとがない。きびしい状況にある。再発防止処分は現状では虚偽報告が一番やりやすいのではないか。

・広末晃敏(アレフ法務部長)
立入検査は、現在(2000年6月10日)7回、合計27カ所に入った。目立ったところは全部入った。ここまで入るのはおかしい。法律成立前、国会において臼井法務大臣は立入検査について次のように言っている。
「毒ガス、銃器などがあるとの情報があり、その真偽が通常の調査で確認できない場合」
現在は乱用されている状態だ。
横浜での転入届不受理では、このように役所からいわれた例がある。
「公調のリストによると、転入届を入れようとしている場所は教団施設と認定されているので転入させることはできない」 このように、団体規制法は逆の方向で作用している。公調は住民と信者の間だに入ってどんどん仲を引き裂いている社会に静かにとけこもうとしている邪魔をしないでほしい、というのが信者みんなの共通した願いです。

・寺西和史(仙台地裁判事補)
排斥運動での転入届不受理は小手先の手続的な所でのいやがらせ。いやがらせをやって追い出そうとしている。役所にオウム信者のリストがあるとのことだが、もしこれが仮に被差別部落者のリストだったら、何人もの役人の首がとんでいるはず。オウムだからやっている。転入届は義務。義務は履行しないといけない。行政の態度として矛盾している。あきらかな違法。国家賠償でも何でもボンボンやればいい。国家賠償でうったえると自治体は弁護士費用を使う。これも無駄遣いなのでこれに対して地元住民は住民監査請求をおこせる。そもそも人権は、弱者、少数者のためにある。権利と権利がぶつかったときに公共の福祉がでてくるのであって、一方的に権利剥奪をするために公共の福祉が使われるわけではない。まわりの住民こそオウムの人たちの生活を妨害している。転入届不受理裁判では、地元の弁護士が原告側へつかない。これが一番残念。栃木では人権救済申立を日弁連へ移送している。あんな簡単な話を移送してはずかしくないのか。滝本太郎さんですら、いまやオウムに危険性がないといっている。しかし、あっさり団体規制法は成立した。結局なんのために法律があるのか。住民、自治体のオウムへの嫌がらせを正当化しているだけ。公調の発表ではオウムでナイフがみつかった、というものもあるようだが、ナイフぐらいなら私の家でもある。団体規制法の意義は、人権を軽視する社会をつくること。人権を軽視する社会は、国家によって統治しやすい。




2000年4月28日
やめろ転入拒否・跳ね返せ団体規制法
人権に例外はないよ
4・28集会


◆日時 4月28日(金)午後6時30分〜
◆会場 日本キリスト教会館/早稲田
◆主催 転入届不受理裁判支援連絡会(転入届不受理裁判を支援し、「オウム信者」の生活権を考える連絡会)

当日の参加者は30名ほど。

◆発言

・竹井宏明(転入票不受理裁判原告代表)
・現在、住民票がないせいで、健康保険書もなく、病院にもかよえない。裁判になったことは、そのこと自体が不本意。本来裁判沙汰になるような話ではない。

・古本晴英弁護士(観察処分取消訴訟弁護団)
住民票不受理の騒動と団体規制法は一連の大きな流れでつながっていると思っている。一橋大学の福田教授は団体規制法を「使いやすい破防法」と言っている。公安審の認定は公安庁の主張とそっくり。実は同じ人がかいているのではないか、と思うぐらいそっくり。公正な手続になっているんだろうか、という疑問がある。
意見聴取などについて、マスコミの報道では実態が報道されない。真実を世間に伝えるにあたって、今回の集会を主催した手塚さんなどの動きが命綱。
団体規制法には現在70人ぐらいの代理人がついている。6月15日の第一回公判のときには100人ぐらいにしたい。
村岡さんのしゃべり方は、なかなか心に染み渡る話し方をする。6月15日に直接聞きに来てください。

注:団体規制法違憲訴訟第一回口頭弁論が6月15日(木)午後2時より東京地裁103号法廷であります(抽選が1時15ぐらいを締め切りに行われる可能性あり。詳しくは東京地裁まで)。

・広末晃敏(アレフ(オウム)法務部長)
公調の立ち入り検査は思想検査。福岡では、「麻原がうつっている写真やビデオは全部すてなさい」などと公調職員から言われている。風呂、トイレも写真に撮られる。就職先などの情報もチェックしようとするので、「それだけはやめてくれ」と懇願しても、「検査を妨害するのか」とチェックを続ける。また困るのは検査後の公調の発表。できる限り危険であると煽ろうとする。やめてほしい。




2000年2月27日
彼らはどこへ…
Migrant A
マイグラント 移住者:渡り鳥


日時 2月27日(日)午後1時30分
会場 高崎市労使会館(TEL 027-323-1598 JR高崎駅東口徒歩10分)
資料代 800円
主催 人権と報道・連絡会/同群馬・栃木グループ

当日の参加者は140名ほど。

◆発言

・広末晃敏(アレフ(オウム)法務部長)
教団のありかたについて行政指導を過去何度も申し出たが、ことごとく無視された。違憲訴訟では、全国で約50名ほど弁護士がついている。
立ち入り検査では、公調の服装などが派手で、違和感があった。今回の立ち入り検査は、一言でいえば思想検査。立ち入り検査は、回数を重ねるごとに横暴になっている。
地域問題では、住民と対話することは十分可能だが、マスコミが邪魔をする。マスコミの背後では、公調が情報を流している。マスコミ、公調は邪魔をせずに、静かに見守ってほしい。

・河野義行(松本サリン事件被害者)
今日は広末さんの話を会場参加者が静かに聞いた。ずいぶん進歩したと思う。
松本サリン事件がおきてから、今日で五年八ヶ月。今のアレフの信者の立場は、五年八ヶ月前の自分と似ている。多くの信者は、事件のことを知らないのに、殺人集団といわれている。
松本サリン事件がおきる前、松本市では、教団と住民のぶつかり合いがあった。その当時から住民感情はヒステリックだった。喧嘩両成敗でいえば、住民にも道義的な責任がある。争いは不幸を生むだけなのに、その後のオウム排斥運動では、そのことが生かされていない。
マスコミについても、今の取材方法はちょっと考え直す時期にきているんじゃないか。事件報道は、みんな警察の立場からなされている。アレフの野田さんが逮捕されたときは、記事は大きな扱いだったが、不起訴になったときは二、三行のベタ記事だった。今のマスコミ報道は、疑惑だけのこし、名誉の回復をしない。
人を裁くのは法のはず、ところが今は、マスコミ、市民が裁いてしまう。その人はあたかも正義を行っているがごとく。アレフを叩いて叩いて追い込んで、アレフがなんでもないと気付いたら、後味が悪いだろう。





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